エンジンの排気量が中途半端なワケ

製造時にキリのいい排気量にするのは難しい

カタログで気になるバイクのスペックを見ていると、様々な数値が見られます。
沢山の車種とスペックを見比べていると、「バイクの名前は250なのに、スペックで見ると249ccだ」に気づくことがあるかもしれません。
なぜ名前を正確に表記しないのか、もしくは名前をカタログ側のスペックに合わせないのでしょうか?

まず挙げられる理由が、「製造時の誤差を考慮した排気量」であることです。
例えば自動車なら、1501cc~2000ccの自動車税は自家用で39,500円です。
しかし2000cc車を製造している時、加工時の誤差で2001ccになってしまうと、たった1ccでも45,000円の自動車税が課せられます。
そのため税の区分がギリギリの排気量の車は、設計時点でやや少なめの数字、1~2程度下になるように設計されます。

逆に、1000cc~1500cc間である1300ccの自動車の場合、1500ccまでは200cc猶予がある状態です。
こちらは少なめの数字ではなく、1339ccなど、やや多めの排気量になることもあります。
その他の車の税制においては、軽自動車は660ccを超えない、原付は50ccまでなど、細かに定められています。
バイクでは250ccを超えると車検を受ける必要が出てきます。

ただ、ここで気をつけたいのは「249ccのバイク」の扱いです。
車ならばどうあれ車検の対象ですが、バイクは249ccなら車検の対象外になります。
しかし250cc間近であれば、速度は十分に出る車種です。
車検制度はありませんが、定期的な専門店での整備などを受けて、事故原因とならないように気をつけましょう。

また、キリの良い数字にならない理由は、他にも円周率を含む排気量計算の都合上の問題もあります。
上限まで猶予がある場合も、「その排気量が最適」という判断をメーカーがしたのでその数字になっているなどのケースもあります。
また、こうした数字の半端さは排気量だけでなく、車のボディーサイズも同様です。
令和現在では区分は排気量だけになりましたが、5ナンバーや3ナンバーとで税額が全く違っており、それぞれの全長が細かに定められていました。

製造上、キリのいい数字にする必要もない

加えて言えば、エンジンを設計する上で、キリの良い数字にする意味はとくにありません。
カタログ上の表記の見映えが良くなる可能性はありますが、そのためにエンジン設計があるわけではありません。
上に書いたように、税の区分を合わせるためにギリギリ低くする、少し多めにする分にはこの車種ならこれくらいが適切など、メーカー側は守るべき数字に合わせた設計をすることが優先されます。