目的別で選ぶシートクッションの種類
長時間のライディングにおける最大の敵、お尻の痛み。
これを軽減するために開発されたシートクッションには、素材や構造によって大きく分けて3つのタイプが存在します。
それぞれの特性を理解し、自分の悩みや走行スタイルに最適なものを選ぶことが解決への近道です。
まずは、市場で主流となっている「ゲルタイプ」「エアタイプ」「メッシュタイプ」の3種類について、そのメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。
衝撃吸収と足つきを両立する「ゲルタイプ」
医療現場などでも体圧分散素材として使われるゲルを採用したタイプです。
このタイプ最大の特徴は、薄型でありながら高い衝撃吸収能力を持っている点にあります。
路面からの突き上げや、エンジンから伝わる微細な振動をゲルが吸収し、お尻にかかる負担を効果的に逃がしてくれます。
厚みが1センチから2センチ程度の製品が多く、シートの上に敷いても座面の高さがあまり変わりません。
そのため、「お尻は痛いが、足つきが悪くなるのは怖い」というライダーに最適です。
また、ウレタン素材のようにへたることが少なく、耐久性が高いのも魅力です。
ただし、ゲル素材は熱を蓄えやすい性質があるため、真夏の炎天下に長時間駐車しておくと、座った瞬間に火傷しそうなほど熱くなることがあります。
夏場はメッシュカバーと併用するなど、熱対策が必要になる場合があることを覚えておきましょう。
圧倒的な座り心地を調整できる「エアタイプ」
複数の空気室(セル)が連結した構造を持ち、空気の力で体を支えるのがエアタイプです。
お尻の形や動きに合わせて空気が移動するため、特定の箇所に圧力が集中するのを防ぐ効果は全タイプの中で最も高いといえます。
まるで雲の上に浮いているような座り心地で、長距離ツーリングの疲労を劇的に軽減します。
空気の注入量を自分で調整できるのも大きなメリットです。
ロングランの時は空気を多めにしてクッション性を高め、ワインディングでは少し抜いてバイクからのインフォメーションを感じやすくするなど、状況に応じた使い分けが可能です。
一方で、構造上どうしても厚みが出てしまうため、足つき性は確実に悪化します。
もともと足つきに余裕がある車種や、高速道路の巡航がメインのライダー向けといえるでしょう。
また、鋭利な物によるパンクのリスクがあるため、取り扱いには多少の注意が必要です。
蒸れを防いで快適さを保つ「メッシュタイプ」
立体的な網目構造を持つ3Dメッシュタイプは、クッション性そのものよりも「通気性」を重視したアイテムです。
お尻とシートの間に物理的な空間を作ることで風を通し、不快な蒸れを解消します。
夏場のツーリングでは、お尻の蒸れが皮膚トラブルや疲労の大きな原因となりますが、これを使うことで股下の熱気を逃し、常にサラッとした状態を保てます。
メッシュ自体の弾力が適度なクッションとなり、硬いシートの座り心地をマイルドにする効果もあります。
価格も手頃で、雨が降っても水が溜まりにくいという利点があります。
単体での使用はもちろん、他のクッションやノーマルシートの上に重ねて使うことで、快適性をさらに向上させる補助的な役割としても優秀です。
失敗しないための選び方と注意点
クッションの効果を最大限に引き出すためには、単に「柔らかそう」という理由だけで選ぶのは危険です。
バイクという乗り物の特性上、操作性や安全性に関わる重要なポイントがいくつか存在します。
購入後に後悔しないために、必ずチェックしておきたい選び方の基準を解説します。
最重要チェックポイントは足つきへの影響
シートクッション選びで最も妥協してはいけないのが、足つきへの影響です。
クッションの厚み分だけシート高が上がるため、信号待ちや停車時の安定感が変わってきます。
特にエアタイプのような厚手のものでは、片足しか着かなくなったり、つま先立ちを強いられたりする可能性も。
立ちゴケのリスクが増してしまっては、快適なツーリングどころではありません。
足つきに不安がある方は、薄型のゲルタイプを選ぶか、シートの前方を避けて座面の後ろ側だけにクッションを設置するなど、安全性を最優先に考えたサイズ選びを心がけてください。
シートの幅に合っているかも重要です。
オフロード車のような細いシートに幅広のクッションを敷くと、太ももに干渉して足が真っ直ぐ下ろせなくなり、結果的に足つきがさらに悪化することがあるため注意が必要です。
走行中のズレを防ぐ固定方法
走行中にクッションがズレると、座り心地が悪いだけでなく、体重移動がスムーズに行えず危険です。
シートに確実に固定できる仕組みのものを選びましょう。
簡易的なマジックテープやゴムバンドだけのものは、乗り降りの際にズレやすいため避けたほうが無難です。
シートの裏側にベルトを通してバックルで締め上げるタイプや、強力な滑り止め加工が施されているものであれば、長時間の走行でも位置がずれにくく、ライディングに集中できますよ。
